LovE


「好きだよ」


 突然ぽつんと投げかけられた言葉に、キラは一瞬時間を止めた。
 自分が言うならまだしも、彼の口からそんな言葉がまさかでてくるとは。
 しっかりしているように見えて実は天然がはいっている彼のことだ。
 その言葉は一体どういう経路を経て発せられるに至ったか。
 それが問題だ。


「それって……、どういう意味で?」


 キラは慎重に言葉を探す。


 その言葉はいろんな意味を含みうる。
 親愛、友愛、恋愛その他。
 他愛ない言葉を違った意味にとってしまえば悲惨だ。
 普通ならば文脈から推理すべきところを、文脈もなにもなく唐突に言われてしまえば打つ手がない。


「どういう意味って?」

 反対に聞き返されてキラは一気に脱力した。
 本当にわからないとばかりに問われればこちらが間違っているような気になるが、何が間違っているのやら。


「友達として?それとも」

 恋愛感情で。
 気持ちが悪いと完全否定するには大切すぎる存在からの告白だなんて正直迷惑以外の何ものでもないとは思ったが、それでも真摯に対応すべきなのだろう。
 キラは一瞬の間をあけた。
 それを続けようとするよりはやく、アスランがああと手を打った。



「そうだな。改めて訊かれるとなんて言っていいのかわからないんだが。たぶん、1人の人間として」



 深い。

 とりあえずの心配は杞憂に終わったようだが、だからといってすぐに笑顔でありがとうと言うまでには至らなかった。



「なんでそれを今言うの?」
「言っておきたかったから」


 それ以上は何も話してくれなさそうなアスランの様子にキラは追求を諦めて、ふぅんそっかと意味のない相槌をうった。
 今のうちにだとか言える時にだとか不吉な言葉がはいりそうな、深読みのしすぎなのかもしれないがその答えは別れを前提にしたもののようでキラとしては気に食わなかったのだが、それを言ったところで仕方のないことなのだろう。
 実際にいつ別れが訪れるのかわからない毎日を生きているのだから。


 言いたかったというのなら、ただ受け止めてやるのがキラに出来る精一杯のことなのだ。
 きっと。



「僕も好きだよ」



 それこそどういう意味かと聞かれたら困るなと思いながらも、それでもキラは限りなく真実を告げた。
 






 アスランからの返事はかえらなかった。



(懺悔)
電波な短文でごめんなさいorz