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色の四字熟語5題


青息吐息



「疲れてるね」

「ああ。言葉がな、もう異国語な気がしてきた」

「通じないの?」

「人の話を聞かない。あいつも悪い奴じゃないのはわかるんだがな、頭が固いんだ」

「シン?」

「なんでけんか腰でしか話せないんだろう」

「大変だね」

「……他人事だな」

「他人事でしょ、実際」

「…………」

「うん?」

「……いいけど」

「しょうがないなあ。かわってあげることはできないけど、癒してあげることはできるよ」

「つまり?」

「僕が癒してあげよう。おいでよ、アスラン」

「何をするつもりだ?」

「ヒーリング」

「いや、だから具体的な内容」

「キラ君スペシャルフルコース」

「キラ……」

「マッサージ」

「うん」

「ぎゅってしてあげる」

「うん?」

「お風呂に入ろう。背中流してあげるよ」

「キラ?」

「安眠をプレゼント」

「キラ」

「ついでに僕のことも癒して? ベッドの上で」




「はあ」




「何そのため息」

「キラ」

「うん」

「少し黙っていてくれ。それだけで癒される気がする」

「声殺してするの? 何か悪い事してるみたいだね」

「…………半径1メートル以内に近づくな」





「え、何で!?」















明々白々

「キラ、俺のゼリーしらないか?」

「ゼリー?」

「冷蔵庫にいれてた。たくさん作ったのに一つも見当たらないんだ」

「何の?」

「白桃の」

「しらないなあ」

「本当に?」

「ウソついてどうするの」

「でも」

「食べたんじゃない?」

「俺が?」

「忘れてるんだよ。よくあるでしょ」

「それはお前だけ」

「微妙に失礼なんだけど?」

「ほんっとうに知らない?」

「知らない」

「どこいったんだろ」

「足が生えて逃げちゃった」

「ぜひとも見てみたいものだが、真面目に探してるんだ。悲惨な状態で見つかるのが一番困る」

「冷凍庫に入れたとか」

「……ない。野菜室もない」

「カガリが昨日来てたけど?」

「帰ったあとに作った」

「まちがえて捨てちゃった」

「お前が?」

「夢遊病の気がある」

「寝てる最中にキラの腕から抜け出してたら教えてくれ」

「あ〜。犬が食べちゃった」

「どこの」

「じゃあトリィ」

「うん。キラ?」

「ん?」

「そろそろ苦しくないか?」

「あはははは。何の話かな」

「いや、大したことじゃないんだ。気にしないでくれ。ところで今日の夕飯はハンバーグなんだ。キラ好きだろ? いっぱい食べてくれていいから。まさか腹が減ったからってつまみ食いするような卑しい子に育つとは思わなかったけどな」






「こないだ僕のプリン食べちゃったの君じゃないか」

「ほう」

「……あ」

「安心しろ? 俺は仕返しなんて姑息な手段に訴えたりはしないから。な?」















無色透明


「何作ってるの?」

「スケルトンのハロ」

「また……なんで。もう使ってない色ないの?」

「いや、あるけど。浅黄色とか小豆色とか樺色とか鶸色とか」

「しぶっ」

「冗談だ」

「何で君が樺色とか知ってんのかが疑問なんだけど」

「だいたい今作っても意味ないしな」

「彼女にしかあげないって決めてんだ?」

「……他の人に送るんだったらそういうのって失礼じゃないか? 使い古したっていうか、他の誰かと同じというか」

「自分のにする気は?」

「邪魔だろ」

「ああ、自覚はあるんだ」

「なんか。お前に言われたくない」

「僕にはくれないの?」

「欲しいのか?」

「ん、まあ、くれるっていうなら」

「スケルトンならもうすぐできるけど」

「あれ? ってゆーか、作っても無駄ならなんでそれは作るわけ?」

「スケルトンなんて彼女には無粋で似合わないだろ」

「だから?」

「自分用」

「邪魔なんじゃないの?」

「中の構造までしっかり見える見本」

「飾る、とか」

「転がしたらお前きっと蹴るし」

「そういう問題じゃなくてさ。君ってなんでそういう不思議なところでセンスが悪いの」

「俺の部屋なんだから何を置こうと勝手だろう」

「うん、だからそういう問題じゃないんだけどね。せめて色つけなよ。設計図あるんでしょ、中身覚えてるんでしょ。分解したら見えるし」

「ピンクのスケルトン?」

「だからね。なんでスケルトンにこだわるの」

「え、や、なんかいいかなって」

「見えるのが?」

「無色透明って響きが」

「なんか僕みたいなこと言ってない?」

「そうか?」

「いいけどさ」

「何? あとから何色にでも塗れるからとか?」

「いや、どっちかというと、何にも染まらないから、とか」

「いやに詩的だね。やってることはとことん無粋なんだけどね」














 

緑葉成陰


「子供ってさ、いいよね」

「なんだまた藪から棒に」

「だってさ、よくない? 子供」

「子供? それってどういう意味でだ?」

「どういう意味って?」

「だから、子供になりたいって意味なのか、子供が欲しいって意味なのか」

「子供を産んで欲しいって意味かな」

「無理。お前が産め」

「いや、僕も無理だよ」

「そうか。じゃあ産んでくれそうな女性を探すんだな」

「君ってさ、時々悪魔みたいに酷いよね」

「お前の望みをかなえてこいって言ってやっただけだろ。それに酷いのはお前のほうだ」

「子供だったらどんなでもいいってわけじゃないんだよ」

「それもそれで捕らえ方によっては最低な気がするけどな。遺伝子さわるのか?」

「え、ああ、うん。そっちのほうが手っ取り早いかも」

「どういう子が欲しいって?」

「僕そっくりの男の子と君そっくりの女の子」

「…………」

「別に反対でもいいんだけど」

「おまえ……」

「で、ゆくゆくは結婚させる。ま、何も仕組まなくてもきっと勝手にくっついてくれるだろうけどー」

「わかってるか?」

「やっぱさ、世界は二人の勢いで洗脳して育てないといけないよね」

「最低だぞ?」

「子供きっと可愛いと思うんだ」

「聞いてるか?」

「たくさん欲しいな」

「もう、いい」

「カガリとか生んでくれないかな。問題は君のほうだよね。双子の妹とかいない?」

「知るか」















千紫万紅

D「ラクス・クラインだろ」

K「ピンクのお姫様? それとも悪魔?」

D「女帝、かな。いや歌姫ぐらいにしとこうぜ」

K「アスランがさ、最初は無邪気でふわふわした女の子だなって思ってたんだって。今は……、なんかちょっと尊敬してるっぽかったんだけど。いろんな意味で騙されてるよね」

D「次いこう、次」

K「ミリィ?」

D「気の強いとこが好みなんだよな」

K「カガリは? 気は強いよ?」

D「力もな」

K「サイが腕相撲負けてた」

D「それはまた、なんとも」

K「あ、フレイもいれといて」

D「誰それ」

K「大切な人」

D「あっそ」

K「あとは、エリカ・シモンズさんとか」

D「大人の色気ってやつか。でも旦那有り。他っていったらM1三人娘?」






A「何の話だ?」






D「人生の潤い、隔離された空間における身近な花々について」

K「ああ、忘れてた。君の名前もいれとこう。きっと上位にいくよ」

D「比べるものが比べるものだからな」

A「は?」